[なかむら] 香川県綾歌郡飯山町西坂元


究極の一杯、「なかむら」のかけうどん(小)100円。 >画像


ずぞぞぞぞっっと、あっというまになくなった。
最高のうどん!!
食べ終わる頃には、思わず立ち上がっていた。
無意識のうちに、おかわりをもらいにいこうとしていたのだった。
ここはあとの事をあきらめても、もう一杯食べないと絶対に後悔すると判断した。


・・・しかし、後ろに立っていた彼が私のことを制止した。無言で首を横にふっている。
せっかくだからいろんな店をまわろうと決めた。基本方針を思い出そう。
そのときの私の顔は、さぞかし憤慨していたことだろう・・・(−−;
後ろ髪をひかれながら店を出ると、同時に店仕舞いになった。
14時までの営業なのだが、13時半前の閉店。
私がおかわりしていたら、最後の一組が食べられなかったかも・・・
よかったかな、これで。
でも、本当にもう一杯食べたかったよ。
京都に帰ってきた今でも食べたいよ。


休日の[なかむら]には連日行列ができているというが、この日は全く待つことがなかった。
店を出る頃には雪が降ってきた。
この週末の西日本はかなりの冷え込みで、風も強かった。
さすがにこんな週末には、遠距離組も少ないのだろう。


それにしても、[なかむら]のうどんが起きぬけの食事だなんて、最高だったな。しあわせ・・・
伝説の店のうまいうどんだから、というだけでなく、いろんな点で、朝イチの食事にピッタリだと思う。
味はもとより、気軽さ、手軽さ、スピード、どれをとっても最高じゃないかな。
瓢亭の朝粥もかなわないだろう。(食べた事ないけど。)


この店は、少し前まで、ネギを裏の畑から摘み取ってくるところからセルフサービスだったらしい。
それでとても有名になった店だそうだから、テレビで見たことがある人も多いかな。
私も昔、見たおぼえがある。


今はネギは店内に置いてあるが、お客が自分で刻むシステムは健在だ。(季節によるのかも)
それは厳しい接客スタイルからではなく、あまりにも忙しいご主人を見かねた常連客の配慮から自然発生的にそういうシステムになったのだそうだ。


しかし私は、ネギを自分で刻む事はなかった。
前の人が大量に刻んで残してくれてあったので、それをもらった。
大根おろしだって、ほしい人は素手でつかんで自分でゴシゴシおろしていた。
ちなみに手を洗うような設備はなかったような・・・


[なかむら]が偉大なところは、もちろんうどんそのものなんだけど、そうやって愛されて続いてきた歴史が、
静かな店内にしっかりと息づいているようで、私はあのお店の雰囲気がとても好きになった。
たしかに、あんなお店、絶対になくなってほしくないもんね。
それに、あんまり安いから、ちょっとぐらい自分で何かしたくなるのもわかる。


私は正直、あまりにもきたないラーメン屋などは苦手だ。
たとえ、ものすごくうまくても。
そもそも客商売をやる気があるのか?ないのか?なんて思ってしまうのだ。
最低限の、人を迎えるという気持ちは、客商売には不可欠だと考える。


しかし、「納屋」「倉庫」と評される[なかむら]の店内は、完全に私の基準をクリアしていた。
あのお店は、あの店主、あのお店、あれでなければいけないもの。
店主と店とが渾然一体となって、完全に絵になって魅力を放っているのだ。
たとえるなら、20年くらい前から何もかわらない、私が子供の頃からおばあちゃんだった人が今もやっている駄菓子屋と同種の魅力だろうか。


それに、うどんというのは、お蕎麦と同様、味も香りもデリケートなものである。
まして[なかむら]のうどんは、うす味のたれをかけるか、しょうゆをかけるだけのシンプルこの上ない味つけ。
ヘンな匂いなどするところでは食べられない。
その点、”空気のおいしい田舎の、限りなく屋外に近い店内”は最高のロケーションなのではないだろうか。
(実際、混雑時には屋外で食べる人も多いそう)


せめて車で一時間くらいのところだったら、毎週通っていけるのにな・・・