某イタリアンのお店、A


某記事の紹介文に曰く

大きなルネッサンス壁画が描かれた洒落た店内で、化学調味料、冷凍ものは一切使わない手作りイタリアンが楽しめる。
おすすめは、ローマ式の石窯でパリッと焼き上げるピッツァ(¥1080〜)。
注文を受けてから、あらかじめ発酵させておいた生地をこね、丸くのばし、トッピングを加え400℃の高温で焼く本格派だ。ほ
かにもパスタソース、ドレッシングも一皿ずつ作るという手間を惜しまないシェフのこだわりも見事。


悪いんだけど、あまりにもがっかりだったので言わせてもらう。


お店自体はまあ、悪くはないなあと思ったんだけど、ちょっと小きたなくて、薄暗くて(間接照明とかそういうのではなく。雰囲気も暗くて)、
しかも店員さんは、ひとりを除いて、見るからに感じが・・・
入って5分後には、この店を選んだ事を後悔しはじめていた。


お水を出してくれた方、注文を訊いてくれた方、接客して頂いた店員さん全員の仏頂面と、一挙手一投足に「面倒なのよ」と言わんばかりの態度が、私達の気持ちをずんずん沈ませた。


私達2人は、同じトマト系のパスタランチを頼んだ。
いちおう、先にサラダやスープが出てきたのだが、どれも、ごく無造作にドスンドスンと置かれるもので、スープは今にもこぼれそう。
ちなみに、何の具も、うきみもなしの、プレーンなコンソメスープ。
持って来てくれたのは、地味な顔立ちにノーメイク、なぜか金髪の小柄な女の子だった。
パスタを出されたとき、私がまだ手をつけていなかったサラダの上に、パスタのお皿の裏が触れたけど、そのまま思いっきりなぞって知らん顔。


これにはあきれたけど、ちょっとかわいそうでもあった。
このお店では、ろくに指導など受けていないのだろうから、仕方ないかな、と。
それでも、この女の子個人の恥になることには違いないのだから・・・
もし違ったお店だったら、客にこんな風に思われることはなかったのかもね。


ときどき出てきた、この店のマダムらしき年配の女性は、おそろしく退廃的な、枯れた美貌の持ち主だった。
いいかえれば、意地悪な魔女みたいな。
彼女の雰囲気が、お店全体を支配しているようだった。


今、飲食店はどこも厳しい時代だろうけれど、あそこまで疲れきったような人もめずらしい。
それを隠そうともしていないことは驚きだった。
それとも、ちょうど今、家や何かが大変で、昨夜眠れなかったのかなあ・・・


そして食後。
リベラのほうのパスタのお皿の底には、巨大なローリエの葉が沈んでいた。
ローリエって、煮込むときには途中で取り出すものでは・・・
取り出さない調理法だったとしても、飾りとして使うものではないのでは・・・
少なくとも、底に埋め込んでおくべきものではないだろう。
私のほうには入ってなかったし。(2人分いっしょに作ったのだろうけど)
気遣いが足りないとしか思えない。
 >手間を惜しまないシェフのこだわりも見事。
っていうお店のはずなのにね。
普通なら放っておくところだけど、それまでのがっかり続きで、私達の気分はすさんでいた。
店員さんに「こんなの入ってたんですけど」と伝えた。そうすると
「シェフに訊いてきますので、少々お待ちください。」と返ってきた。
はたして返答はなかった。
その後30分以上、その店でおしゃべりしていたにもかかわらず・・・


次に出て来たのは、マダムの
「もう閉店なので。」
のひとことだけだった。


私の想像では、その子は本当にシェフに訊いたのだろうけど、「ほっとけ。」とでも言われたのだと思う。
私が昔、バイトしていた店でもよくあったことだから。
厨房の中しか見ず、ホールの事に関心を持たないオーナーシェフは、この程度の事を平気でする場合がある。
ホール担当の責任者も、何も言わない。
ここも、その程度のお店なのだろう。


そんなことを思っていた私は、すっかり気が付かなかったのだが、
リベラが「ラストオーダーも訊かれへんかったな。」と鋭い指摘。
ほんまやなあ・・・


そうそう、ご自慢のピザはまあまあおいしかったッス。