[GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊](軽くネタバレ有) to [COLORS - ファッションと色彩展] in 森美術館

ジャケ写より



有名な作品だが、初めて見た。


じつは2回めだった。
1回めは、数ヶ月前のこと。
イノセンス]の公開直前に、予習として見ようとしていた。
そのときは、疲れていたのか、20分くらいで寝てしまった。
何せ静かな作品だし、前半はまるでモヤの中を進んで行くような展開で。
 (何の予備知識も無しで見たし)


今回も、初めは不安だった。
何故かまた、とても疲れているときに見始めてしまったし。
始まって10分も経った頃には、”理解が追いつかないまま終わってしまうのでは”という不安に駆られ始めた。


実際、何となく最後まで見てしまうと、訳が分からないまま終わってしまう作品だったろう。
結末にも「え?(それで終わり??)」という感じだったと思う。


見終わってみると、まず、ストーリーのシンプルなことに驚いた。
深遠なテーマや、独自に確立された世界観云々という前知識と、
前半、「一体何がどうなっているのだろう」と必死に手探りさせられた(私だけ?)ことと。
でも、期待はずれだったということでは無くて。
終わった後の、何ともいえない感覚は、ストーリーのシンプルさによって際立ったものとなっていると思う。


上映時間も短いし(80分)、原作のある作品だということを考えると、削ぎ落とされた部分がたくさんあったのだろう。
私は原作を読んでいないので言及する資格が無いかもしれないが、あの削ぎ落とし方こそ、監督のセンスなのだと思う。


以下、思いついた事を適当に並べていく。


オープニングが、あまりにも[マトリックス]に似ている 事には笑った。


私の場合は[マトリックス]を先に見ていて、ウォシャウスキー兄弟がこの作品に少なからぬ霊感を得たということを知っていたけど、ここまでとは思わなかった。
オープニングなんて、そのまんま、この作品へのオマージュではないか。
それ以外にも、劇中、幾つもの[マトリックス]の名シーンを想起させられる場面があった。


詳しく比較しているサイトがあって、面白かったので紹介する。


 →http://www.geocities.com/tacobelll/matrixgits/index.html
  (ページ右下隅の[Click Here To Begin]から)


戦車が見えるようになったのは何故か。


主人公である草薙素子が、人形使いと出会うシーン。
自動車の上に戦車のようなものが覆い被さっているのだが、初めは光学迷彩でカモフラージュされている。
あの戦車が見えるようになったのは何故なのだろう。
私の考えでは、割れた窓ガラスの破片が光学迷彩の布地(布、だと思う)を切り裂いたからだと思うのだけど、彼のほうでは「どうなんだろう」ということで、そう言われると自信が無くなってしまった。
何せ彼のほうはSF愛好家であり、押井守さんの大ファンで、この作品は劇場公開時から見ているというし。
本当のところはどうなのだろう。


映像特典のメイキングが丁寧で面白かった。


とくに、アニメーションの技術/工程に疎い私のような者には、「へえ〜」の連続。
アニメのシーンやキャラクター、カメラ等の全ての動きは、撮影時にセルを載せる台の動きに制約された上で造り出されるという事とか・・・
今はフルデジタルが多いので、当時(1995公開)のように、台の上に背景やセル画を重ねて上からカメラで撮影するという手法は使われていないそうだけど。


メイキングでは、途中で監督の押井守さんが登場する。
相変わらず、


”純くん”こと吉岡秀隆さんにそっくりだ。


彼は以前から指摘していた事なのだけど、以前の私は押井守さんの顔を知らなかった。


それにしても、押井監督の風貌は・・・
なんと言ったらいいのやら。
天才的な風貌と言うのだろうか。それとも、職人的?
哲学者のようだと評する声を聞いたこともある。
オカッパ頭に至っては、年齢・性別すら判別し難いように思う。
あの仙人のような人が、あんなに美しい作品を作り出すのか。


光学迷彩]をgoogleで検索したら、すごいのが出てきた。


有名だと思うけど、いちおう紹介。
東大生が2年前に実現した”光学迷彩”装置のデモ。
道端に立っている人間の向こうが透けて見える(ように見える)・・・


 →http://projects.star.t.u-tokyo.ac.jp/projects/MEDIA/xv/oc-j.html


これはクロマキー処理ではないが、


先日、森美術館で見た[COLORS ファッションと色彩]展で見た、ヴィクター&ロルフの”クロマキー”シリーズを思い出した。


 ([ブルースクリーン]コレクション(2002年秋冬)の中で)


”クロマキー”で使われる真っ青な布地を使って作られたシリーズだ。
展示作品のひとつとして、彼等のショーの映像を見る事ができたのだが、とても面白かった。


ショーの舞台を生で見ている人たちは、青い布そのものを見ているはずだが、カメラを通して見ている私達の目には、そのドレスの表面は雲が流れる青空であったり、波打ち際の映像であったりする。


クロマキーはリアルタイムで処理できるというから、ショーの舞台にモニターが設置してあったとしたら、舞台の上に実在するモデルは真っ青な服を着て歩いているのに、リアルタイムでキャプチャーされた映像のほうでは全く違ったテキスタイルをまとっているという、不思議な世界が生まれた事だろう。
 (ていうかそういうショーだったのかな)


余談だがヴィクター&ロルフの各コレクションのビデオは素晴らしく、音楽も良くて、DVDが出ているのなら是非手に入れたいと思った。


今になって、[ファッションと色彩]展のカタログを買わなかった事を激しく後悔している。
あの時は、後の予定があったので荷物になると思って・・・ >言い訳


攻殻機動隊からすっかり離れたところに着地してしまった。