会社への道のりは遠かった(長文&愚痴入り注意)


夫の勤め先は、渋谷駅から徒歩15分程度のところにあります。
いちおう[代官山]と呼んで差し支えない場所のようです。
代官山ではベビーカーで子供をつれた人をよく見かけますし、会社を出たあとはしばらく歩きまわって帰ろうと考えていました。


が・・・・・ 甘すぎました。


まず家を出て、最寄り駅でショックその1。
我が家の最寄り駅(地下鉄某線)には、ホームへ降りるエレベーターがないのです。
 (改札は地下1階、ホームは地下2階。改札までは駅ビルのエレベーターを利用できます(ただし平日のみ。かつ遠回りですが))
下りエスカレーターがないのは、前から知っていましたが・・・
たとえホームの最深部であろうと、エレベーターはきっとどこかにあるものと思っていたのです。
たしかに、見あたらないなとは思っていましたが、存在しなかったとは。
駅員さんにたずねたら、「手伝います。」とのこと。
結局、私が子供を抱いて、駅員さんには畳んだベビーカーを持って頂いて、一緒に階段を降りました。
なるほど、階段やエスカレーターを利用するには、こうして別々に持てば可能なんですね・・・
近所のスーパーなどでも、2階に行けなくて困っていたのです。
手荷物があると無理だとか、すごく大変とか、危険であるといった点はさておき、こうすれば可能だったわけです。
ひとつ賢くなりました。
しかし、ベビーカーを畳むことを想定していなかったため、座席の下に荷物を入れていて、苦労しました。
 (荷物入れに物が入っているとうまく畳めないのです)
それにしても、帰りはどうすれば良いのでしょう。
ホームに駅員さんはいません。
ベビーカーを置いて改札まで頼みに行くわけにもいきませんよね・・・


そして、地下鉄に乗ってショックその2。
ベビーカーのかさばること、邪魔なこと。
外より何倍も、かさばるように感じるのです。
とっても肩身が狭いです。
2〜3分ごとに電車が駅に止まるたび、乗り降りする人の流れを妨げてしまいます。
本当は退けたいのです。
しかし、乗った直後に立ち止まった位置から動けません。
恐縮しているほかないのです。
いつもならたいした混雑と思わない程度の乗車率でも、ベビーカーが通るには余裕が全くありません。
ところで、目的の駅について、開く扉が反対側だった場合、はたして私は降りることができるのでしょうか・・・
心配になってきました。


心配は杞憂に終わり、無事に乗換駅で降りることができました。
しかも、この駅には使いやすい場所にエレベーターがありました。


そしてとうとう渋谷駅に到着。
ホームを歩いて、ハチ公口に続く改札の前まで行って、改札を出る直前、ショックその3。
改札のむこうが階段になっています。
改札のむこうでエレベーターを利用できのある出口でないといけません。
駅員さんにそういうホームの場所を確認した後、ホームを歩いて戻りました。しくしく。

改札を出て、無事に目的のハチ公口から出ることができました。


そこでショックその4。
いつものように、モヤイ像を左手に見ながら通り過ぎ、その先は歩道橋を使って目的の大通りに進むわけですが・・・歩道橋が使えません。
いちおう真ん中にスロープがあるのですが、それを使う勇気はありませんでした。
このスロープ、角度がかなり急なのです。
一般的なベビーカーというのは、停止状態で固定できるブレーキはついているものの、手元にブレーキはなく、速度の調節は自分の腕力でしかできません。
もしも途中で疲れて力が抜けてしまったり、つまずいたりしてしまったら・・・
ベビーカーを使うこと自体まだ数回ですから、とても勇気が出ませんでした。
この時点で相当疲れていたこともあって、とてもクリアできる自信がありませんでした。
電車の乗り降りの際、ベビーカーを持ち上げる必要があるので、とても緊張しますし、体力も消耗します。
しかも、あちこちで階段を上り下りしなければなりませんでした。
子供を片手に抱いて、もう片方の手で畳んだベビーカーと荷物を持って、人の多い駅の階段を上り下りすることもまた、緊張するうえに疲れることです。


仕方がないので、下道で行くことにしました。
横断歩道を渡って、大通りを東に進みます。
セルリアンタワーを目印に、方角はしっかり分かります。
今進んでいる道(246)を、適当なところで左に渡って、少し進めば良いのですが・・・
・・・いつまで歩いても、いっこうに渡れません。横断歩道がありません。地下道ばかりなのです。
そういえば、ずいぶん前に、エレベーターを見かけました。
あれは地下道のエレベーターだったのかも・・・そのうち横断歩道があると思って、無視してしまったのですが・・・とほほ。
気付いてからあとに見かけた地下道には、悉くエレベーターがありません・・・


ここで、いらぬ心配でしたがショックその5。
もし今、トイレにいきたくなったら、一体どうすればよいのでしょう。
ふとそう思って、考えれば考えるほど、暗澹たる気持ちになってきました。
私ひとりの場合は、コンビニでトイレを借りれば済むことですが、子連れでしかもベビーカー。
コンビニに、ベビーカーを持ち込めるトイレがあるとは思えません。
アカの他人に「すみません、ちょっと子供を見ておいてください」というわけにはいきません。
首のすわっていない子供を待たせておく手段は限られています。
すでに渋谷駅から30分くらいは歩いて来ています。戻るには遠すぎる・・・一体どうしたら・・・


そんなことを考えているうちに、セルリアンタワーを過ぎてかなり経ちました。
いいかげんに西に向かわなければ、目的地から離れるいっぽうです。
ezナビウォークを使ってみても、この先どこで道の向こう側に渡ることができるのか、分かりませんでした。
あきらめて夫に電話しました。


私の落ち込んだようすを察してか、迎えにきてくれることになりました。
数分で駆けつけてくれました。
不覚にも涙が出そうでした。
知っている場所に行くだけなのに、どうして異邦人のように困り果てなければならなかったのでしょうか。
さみしくなってしまいました。


夫について歩いていくと、すぐに知っている場所に出ました。
ずいぶん遠回りをしたものです。
今までなら、ドアtoドアで1時間程度だった道のりですが、今日は2時間以上かかりました。
(渋谷駅から歩いたのも原因ですが・・・いつも乗るバス(小型バス)にベビーカーで乗れる気がしなかったのでパスしたのです)


地下鉄では、どの駅でどちら側の扉が開くか、エレベーターは利用可能か、混雑具合は?
道路では、歩道橋や横断歩道の場所、利用できるトイレの場所など、細かなデータを取って、しっかり頭に入れておく必要があると思いました。


なにしろ、まったく今までどおりに動けないのです。
世の中の案内や表示板に従って動くことすら困難です。
たとえば、地下鉄を某駅で降りて××線に乗り換える場合、[××線]と方角を示す案内板に従って行った先には、長い階段しかなかったりするわけです。
今日の私は、乗り換えに最適な改札ではなくて、出た先にエレベーターのある改札を使うべきでした。(あれば、の話ですが)
今までと同じようには歩けません。
世の中が違って見えました。


それにしても、都会にはルールが多いのですね。
考えてみたらあたりまえのことなのですが、今まであまり意識していませんでした。
しかし、ルールがあるからこそ快適な社会生活が営めるわけで、それはルールによって行動を制限される側になったとしても同じことだと思うのです。
ルールに従いながらも、うまく機能を使いこなせば、今日よりは快適にいけるはず。
そのためにはまず情報収集しなければ。


帰りは迷わずタクシーにしました。


運転手さんのお孫さんの話で盛り上がり、写真を見せてもらったりして(とってもかわいい女の子でした)、楽しい車中でした。